1.1 人工衛星のミッションと姿勢・軌道制御系の役割
「きく6号」の場合
最も厳しい指向要求精度は0.01度(Kaバンドマルチスポットビーム用のアンテナ)なのに対し、次のような姿勢を狂わせる要素があります。
- 柔軟構造物(電池パドルなど)の振動
- 太陽放射圧や熱変形によって緩やかに変化する外乱トルク
→リアクションホイールで制御(これが何かは分かりませんが)
- 太陽や月の引力による摂動(perturbation)(位置が変わること)
- 軌道保持(station keeping)制御時の二次推進系のスラスタの推力の不整
- 搭載液体燃料の揺動(スロッシング:sloshing)
最近は衛星が軌道制御と姿勢制御両方やるようになってこれらの干渉が起こりやすくなったから最後のスロッシングを考慮しなければならなくなったらしいです。
「だいち」の場合
姿勢決定精度は0.004度が求められていました。このために地球センサではなく恒星センサが使われました。また、軌道上を位置を高精度で得るためにGPSが使われました。さらに、画像分解能を達成するためには高い姿勢安定度が必要とされていました。
これらを達成するために必要なものには上にあるもの以外に次のようなものがあります。
- 衛星間通信のためにアンテナを動かすときに反作用で生じるトルク
- リアクションホイールの回転によるトルク
→発生擾乱のアイソレーションという技術があるらしいです。
- 希薄大気の影響
このようにしてみると衛星の制御がどれだけ精密で高度なことかがわかりますね。