宇宙ステーション本体システム

安全性

宇宙機のシステムとしての安全性や搭乗員の安全性を脅かすような危害をハザードと言います。ハザードに対する対処は次の3つがあります。 

  • ハザードが発生しにくいシステムにする
  • ハザードが発生した時には速やかに警告を発するようにする
  • ハザードが拡散しないように封じ込み(containment)を行う

ハザードが起こりうる設計に関しては、故障許容(FT:Fault Tolerant)という指標を基準にします。例えば2FT設計とは、2つの故障または誤操作があっても許容できる設計のことです。
ISSで考慮されているのは次のようなことです

  • ハザード源を回避した設計にする。
  • ハザードにつながる運用・操作に関してはインターロックをかける
  • 火災発生を防止する設計をしと警報装置を用意する
  • 緊急減圧対策をする
  • シャープエッジを避けるなどして不慮のけがのポテンシャルを減らす
構造・機構

宇宙ステーションの構造に対する基本要求は次のようなものです。

  • 搭乗員、システム機器、実験機器のための十分なスペースとそれらの保護
  • 打ち上げ時、軌道上での負荷に耐える
  • 姿勢制御、軌道変更時に、十分な制御性、安定性がある振動特性を持つ

宇宙ステーションでの放射線対策

宇宙ステーションでの隕石・デブリ対策

  • 強化シールド・バンパー
電力システム

電力を得る手段としては次のようなものが考えられます。

  • 太陽エネルギの変換
    • 太陽光発電
    • 太陽熱発電(大電力が得られるが、温度が高く、開発コストも大きいため実用化には至っていない)
  • 蓄積エネルギの利用
    • 熱的手段:熱電池(熱エネルギーを電気ねえるぎーに)
    • 化学的手段:燃料電池、蓄電池
    • 機械的手段:はずみ車(回転エネルギーの蓄積
  • 核エネルギの利用
  • テザーシステム(長い導線を磁場の中で動かすと電流が流れる原理の利用)

太陽エネルギの変換を利用する場合に考慮しないことがあります。

  • 地球の影に隠れる期間は蓄えた電気を使う
  • 太陽発電パドルが空気抵抗になって減速する
  • パネルを絶えず動かさなければならないが、パネルの制振、パネルの動きによる宇宙ステーション質量中心の変化を制御の際に考慮する必要がある

接地にはプラズマコンタクタからキセノンガスのプラズマを発生させ、電子流を宇宙空間に放射して、プラズマ環境との設置を行わせている。(全然仕組みがわかりません)
電気系は大量の熱を発生するため、熱制御システムで熱を宇宙空間に放出する。
国によって基準が違っても相互に電力を供給できるようにする。
電力システムの各分岐には半導体遮断器(RPC)が設けてあり、1要素に故障があった場合でも、それが他へ伝播せず、他系統への電力供給が停止せず、軌道上で修復できるようになっている。

熱制御システム(TCS:Thermal Control System)

TCSには二つの種類があります。

  • 受動的熱制御システム:流体などの媒体を用いずに廃熱・保温するシステム
    • 断熱材
    • 熱保護剤(アプレーション材:材料の表面が蒸発、昇華、熱分解によって吸熱する など)
    • 熱容量利用(ヒートシンク:装置からの熱を吸収させる目的で、機器の取り付け部に敷く熱容量の大きい金属板などのこと など)
    • 表面処理(塗装、コーティング、フィルム処理など)
  • 能動的熱制御システム:流体を媒体として熱を集め、排熱・保温するシステム(凍結防止の配慮が必要)
    • 放熱板(ラジエータ
    • ヒートパイプ
    • クライオジェニックシステム
    • 熱電素子利用(ヒータ)
    • 単相流ループ:相変化なしに循環させる方式で信頼性が高い
      • 熱交換器
      • コールドプレート
    • 2相流ループ:相変化を伴う方式でシステムは複雑になるが大きな熱を運ぶことができ、外部システム向き
      • 熱交換器
      • 凝縮器、蒸留器

クライオジェニック処理とは耐久性の求められる工業製品から宇宙開発に至るまで金属の耐久性を向上させる処理で、楽器業界でも以前から電装系パーツに採用されてきました。冷却ガスによる超低温域での処理によって金属の分子配列が変化し、より上質な金属へと生まれ変わります。※錆びにも強くなります。
バードランド クライオジェニック フレット - フレット - 有限会社バードランド

環境制御系と生命維持システム(ECLSS)

大気制御と供給(Atomosphere Control and Supply)

  • 大気成分モニタ:大気成分の監視、汚染物質の濃度をガスクロマトグラフィ・質量分析器などを用いモニタリング
  • 有害ガス制御:粒子フィルタ、触媒で吸着しやすいようにしてから水などに吸着させる
  • 微粒子及び微生物除去:紫外線照射あるいはフィルタなどで除去
  • 貯蔵と分圧制御:高圧タンク、極低温タンクに貯蔵したり、化学物質として蓄えたりする。地上のように重力と対流の作用で自然に拡散しないので、強制的に攪拌・送風し、大気の組成が均一になるようにする。

大気の再生

  • 炭酸ガス除去
    • 水酸化リチウム:再使用できず、宇宙服が主な利用先
    • 固体アミン法(SAWD: Solid Amine Water Desorption):再使用可能。粒上のアミンの上に大気を通し、水を触媒として炭酸アミンを作ることによって炭酸ガスを取り込む。熱した蒸気を通すことによって炭酸ガスを分離することができる。
    • モレキュラーシーブ法(Molecular sieves):ゼオライトシリカアルミニウムなどに炭酸ガス分子を吸着させる。あとで加熱して真空引きをすることによって炭酸ガスを分離することができる。
  • 炭酸ガス還元:炭酸ガスから化学反応を利用して酸素を還元して有効利用
    • サバチエ反応:触媒を用いて水素と二酸化炭素から水とメタンを生成(反応効率99%)→水を電気分解して酸素を得る。メタンは炭素と水素に分解され水素は再利用される。
    • ボッシュ反応:滝温度が必要で反応効率が低いためそうちは大型となるがサバチエ方式が用いられることが多い

水回収と管理

  • 貯蔵と水質管理:水質を処理し次のような項目で評価
    • 有機炭素含有量(TOC:Total Organic Carbon Content)
    • pH
    • 伝導度
    • 透明度
    • イオン及び微生物
  • 水の回収と管理システム
    • すべての排水を1か所に集めて飲料水のレベルまで再生し、共通のタンクに入れて貯蔵し、これを飲料水、衛生水、両方の目的で用いる
    • 人間の排せつ物を処理して衛生水として用い、衛生水は処理して衛生水として再使用する(飲料水としては燃料電池で作られる水と地上より送られる水)
    • 排泄物は再使用せず、シャワーと洗顔の水はそれぞれ独立にリサイクルして再使用する(飲料水としては燃料電池で作られる水と地上より送られる水)
  • 水の浄化
    • 吸着処理法(MF:Multifiltration)目的の異なるいくつかのフィルタを用い、微生物とうを除去する。
      • メッシュ型フィルタ(粒子除去用)
      • 炭フィルタ(有機物除去用)
      • イオン交換樹脂(無機物用)
    • 蒸気圧圧縮蒸留法(VCD:Vapor Compression Distillation)
    • 逆浸透膜法(RO:Reverse Osmosis)
    • 限外濾過浸透膜法(Ultra-filtration)

火災検知と消化

  • 火災検知
    • 煙検知
      • 光学的に検知
      • 煙に含まれるイオンを検知
    • エネルギ検知:紫外線、可視光線、赤外線、熱線などの検知
  • 消火;水はショートを起こしやすいこと、泡は消火後の清浄化が困難なため、炭酸ガス、窒素、ハロンなどが用いられる。
  • 火災後の復旧:減圧して汚染物を排出する。