宇宙の中の人間

アルテミス計画のように有人宇宙探査はこれからも拡大していくと考えられるので、宇宙の中の人間というテーマで書いていこうと思います。

人間の生存条件
  • 酸素:酸素が不足していると低酸素症になるし、多すぎても酸素中毒症になる。
  • 炭酸ガス:大気中の炭酸ガス量は極力少なくしておく必要がある。
  • 雰囲気温度・湿度:人間が長期間耐えることのできる温度範囲は5.6~31℃だと言われている。的な温度・湿度の範囲は温度18-27℃、湿度25-70%→コンフォートボックス
微小重力状態の人体に及ぼす影響
  • 宇宙酔い:微小重力状態になって数分ないし数時間以内に吐き気を催したり、嘔吐したりする現象
  • 体液シフト:微小重力状態では体液が東部方向へ移動し、センサが体液過剰であるとして排尿を促進させ、結果として体液の総量が減少する。地上ℏの帰還時には体液がまた下肢に移動するため、頭部の体液量が不足し、血圧低下や失神を起こす
  • 筋委縮:筋肉に対する負荷が減少するため、骨格筋の収縮を引き起こす→宇宙空間の筋トレで対応
  • 骨カルシウム代謝異常:過重負担が極端に少ないため、骨量の顕著な現象がみられる。→人工的な過重負荷、運動、栄養分としてのカルシウム摂取
閉鎖生活空間

人工的に作り上げた人間の生命を最低限支えるための物質の循環系のことをECLSS(イクルス):Environmental Control and Life Support Systemといいます。
〇 物理化学系ECLSS:工学的手段のみを用いたもの。

  • atmosphere management
  • water management
  • food management
  • waste management

の4つの基本機能があります。
〇生物系ECLSS:自然の循環システムを取り込んだもの。

宇宙で生活するための人間工学と居住性

宇宙で人間が快適に生活するために考慮しなければならないことがたくさんあります。その一部を紹介します。

  • 基本姿勢の違い:微小重力下では装置を設計する際に自然な姿勢の地上との違いを考慮する
  • 身体特性:人種や性別などによって異なる身体特性を考慮して、上限と下限を決める
  • 作業性:
    • 暗反応と明反応:宇宙空間では地上より明部・暗部のコントラストが強い
    • 空間識:空間内の自分の姿勢や方向感覚が地上とは変わる
    • 距離判断:手足の距離判断などが変わる
    • 騒音環境:警告音を聞き逃したり、会話の妨げとならないようにする
    • 重力の利用による固定ができないため、浮遊しないよう固定法を考える
    • 操作の際、反力、反モーメントをとれるようにする。
    • 保全性設計

作業性の確認には地上に巨大な水槽をつくったり、航空機で微小重力の状態を作ったりする。

  • 居住性:
    • 利用できる空間の大きさ:乗組員1人あたりの容積をミッション時間の関数として示すものに、セレンターノ基準という基準値がある。(人口重力を持つ宇宙ステーションでは平面面積が重要)
    • これ以外にも、照明、装飾、におい、振動、騒音、衛生状態、食事、レクリエーション、人間関係など考慮することは山ほどある。