宇宙環境

今回は宇宙環境についてまとめます。

高層大気の各層の分け方は次の通りです。

  • 気温が高度とともに減少しなくなるところを対流圏界面(tropopause)と呼びます。ここより下を対流圏(troposphere)といいます。ここから上を高層大気といいます。
  • 対流圏界面を超えると温度が上昇していき高度50㎞ぐらいで極大になります。ここを成層圏界面(stratopause)とよび、ここまでの大気の層を成層圏(stratosphere)と呼びます。
  • ここを超えると温度が下降していき、高度80㎞ぐらいで極小になります。これを中間圏界面(mesopause)とよび、ここまでの領域を中間圏(mesosphere)と呼びます。
  • ここまでは空気の組成は高度に寄らないですが、これより上では重力による分離が起こります。酸素原子(170km~)→ヘリウム原子(1000km~)→水素原子
  • 中間圏の上高度800㎞くらいまでを熱圏(thermosphere)といいます。
  • さらにその上1200㎞くらいまでを外気圏あるいは逸出圏(exosphere)と呼ぶことがあります。

電波伝播の観点から大気の層を分けることもできます。

  • 中性圏(neutrosphere)
  • 電離圏(ionosphere)

境界は高度約60㎞です。

電離圏は反射する波の種類ごとに名前が分けられています。名前はD,E,F1,F2層です。Dが最も下にあり、反射する波長は短いです。

 

地球近傍で遭遇する宇宙放射線には次の3種類があります。

  1. 太陽系外からの宇宙放射線
  2. 地球磁気圏にとらえられている放射線
  3. 太陽風による放射線

1.太陽系外からの宇宙放射線はその98%が銀河系内から来ており、銀河宇宙線と呼ばれています。(galactic cosmic ray) このうち87%は陽子、12%はα粒子、それ以外はリチウムから錫までの原子核です。

低緯度地帯に侵入してくる銀河宇宙線はほとんどが地球磁場で補足されるため、地球磁場は防壁になっています。高緯度地帯では低高度でも放射線を直接受けることになります。

2.磁場補足宇宙線(trapped radiation)とも呼ばれ、いわゆるヴァンアレン帯を形成します。太陽風の粒子が地球磁場で補足されてできたものと考えられているそうです。内帯と外帯があり、内帯は陽子、外帯は電子の集まりである。

高緯度帯に張り出した高密度の電子帯があり、the horns of electron beltと呼ばれているそうです。この領域を通過する宇宙飛行帯は領域に入るときに強く帯電し、出るときに放電するため電子機器が大きな影響を受けます。

南大西洋異常帯と呼ばれる地域では地球磁場が弱くなっていて、放射線レベルが高く、なるべく通らないように設計し、船外活動はしないほうが良いと言われています。

3.太陽風は太陽のコロナから流れ出すプラズマ状態の粒子の流れです。尾の中心はプラズマシートと呼ばれています。普通の状態では地球近傍の宇宙空間への影響はあまりなく、宇宙ステーションの設計環境条件には考慮されていません。軌道がプラズマシートを通る場合(静止衛星など)は放射線を受けます。

 

宇宙環境には隕石やデブリも存在します。鉄やニッケルでできた隕石よりも、氷の塊が軌道上では特に危険だと言われているそうです。