論文メモ Lunar resources: A review

Potential lunar resources

Solar wind implanted volatiles

大気や磁場が存在しないため、太陽風が直接レゴリスに降り注ぐ。
太陽風は水素とヘリウムの原子核が大部分を占める。
300~900℃に温めることによって、これらの揮発性物質を取り出せることをアポロ計画のサンプルが示した。(700℃でほとんどの水素とヘリウムを取り出せる)
極地ほど太陽風が弱く、揮発性物質を蓄えることができる。
しかし、これらの揮発性物質を現地で取り出すのは容易なことではない。
レゴリスの温度は-20℃ほどで、それを700℃まで上げることを考える。レゴリスの比熱は平均X \mathrm{900 J/(kg \cdot K)}, 密度は \mathrm{1660 kg/m^3}であるから、レゴリスを720℃上げるために必要なエネルギーは、 \mathrm{10^9 J}オーダーということになる。これは、月の赤道上で1平方メートルあたりに降り注ぐ太陽光のエネルギー9日分に等しい。

解決策
太陽光を集める。
マイクロ波で温める。

どちらにせよ、巨大なインフラが必要なのは明らか。

Water

月の水は将来の月を拠点とした経済という文脈で価値のあるものかもしれない。
自転軸が1.5°であるために、全く日の当たらない部分ができる。
彗星や含水隕石の衝突、太陽風とレゴリスの反応によって閉じ込められている可能性がある。
どれくらいの水があるかどうかはまだ不明。日陰は40Kぐらいしか温度がなくて非常に厳しい環境。
火砕ガラスの中には高い濃度で水が含まれている可能性がある。→太陽光に当たっている部分でも水を得ることができるかもしれない。

Oxygen

チタンが多い地域で、原子状態の水素を高温で反応させることによって還元反応を起こし、鉄と水と酸化チタンを得るという反応がある。
仮に極地で氷を見つけることができたとしても、今後の経済成長のためには、レゴリスから水や酸素を取り出す技術の開発は非常に重要である。
非常に寒いことと氷として水が保存されていることにはオフセットの関係がある。
また、レゴリスを還元する方法は酸素だけでなく金属を得ることにもつながり、これは極地の氷にはないメリット。

Metal

酸化物鉱物を還元するのには非常に大きなエネルギーが必要。
太陽風によって還元されたマイクロメートルオーダーの鉄の粒子を抽出するのはそもそも粒子が細かすぎて難しいと考えられている。
1平方メートル当たり、300gのニッケルと0.5グラムの白金族金属が得られるという。
月に衝突したアステロイドの残骸により多くの鉄とそれに付随するニッケルや白金族金属が得られる可能性があるが、詳しい量はまだ明らかになっていない。(磁場に不均質な部分が存在し、そこに通常以上の金属が含まれているといわれている)
将来の宇宙経済の文脈では、月が小惑星は、小惑星よりもTiの供給源として大きな優位性を持っている可能性がある。