衛星の基本設計
宇宙工学入門で説明されたの設計の重要な考え方をまとめます。
Heritageの重要性:なるべく前作と同じ機器を使うことで安定性を高める。
Budgeting:成立性を早く明確にする。
- 太陽電池パネルで得る電力で衛星を運用することができるかをしっかり考える。消費量の方が多いときは、太陽電池パネルを大きくするか、運用のシナリオを変える(例えば、通信時間を短くする)。
- バッテリーは空っぽにすると傷むため、余裕を持つ(ただし、バッテリーを大きくすると重さは増えてしまう)。
Cansatの場合の手順
① ミッションシークエンスを参照
② 総電力消費量を計算
③ マージンを足す(1.5倍など)
④ 必要なバッテリータイプとサイズを決定
⑤ 本番の環境で実験
Water flow Type Project Management:できるだけ早く欠陥を見つける
- プロジェクトマネジメントを早くしていくのも研究課題
- 下から上には戻らないことでお金と時間を節約
① ミッション作成:システムレベルでデザイン
ーMDR (Mission Definition Review)
② Breadboard Model Phase (BBM):詳細設計のための実験を重ねる
ーPDR (Preliminary Design Review)ー:フィージビリティを検査するためのレビュー会
③ Engineering Model Phase (EM):何個か試作機を作る。宇宙環境での機能を確実にする。
ーCDR (Critical Design Review)ー:設計を見直して確認
④ Flight Model Phase (FM):設計通りに制作
ーLRD (Launch readiness Review)
⑤ Launch & Operation
Monitoring and Reset(おかしい動作をしているものは電源を切る)
衛星の難しい点:一度上がると修理できない→相互監視、リセットの有効活用、Dead Batteryからの復活能力が必要
リセット活用によるロバスト化:永久故障以外はリセットで復帰することが確実だという前提に立てば、冗長系よりもリセットを確実にしたほうが効果的。
- CPUの相互監視
- システム内に「神」を置く
- 過去の衛星で確実に動いたものを「神」として搭載して、新規の要素の監視役にする。
- 「神」にバス作業をさせ、裏で新規のCPUをミッションで試す。
- 「神」が不安であれば、相互監視によりさらに強化
衛星の動作の管理(モードとモード遷移)
モード:それぞれに特徴を持った「衛星のあるタイプの動作」を表現したもの
- 初期モード:ロケットから分離した直後のダンブリング状態
- セーフモード(サバイバルモード):電力消費を最小にし、「耐える」モード
→何か起こって、状況の把握に時間がかかりそうな際に、まずはここに入れて死なないようにする。
→原因追及、一部試行錯誤などで解決策を探す。
モードごとに何が違うか
- 姿勢制御の目的
- 使う機器
- CPU,通信などの機器の作業内容
モード遷移:「ある条件」が満たされると「手動」ないし「自動」で遷移する。
その他の留意点
複雑さを排除する
- 複雑さの指標として、コンテクスト数という概念が提案されている
- 異なる地上試験を必要とし、人間がそれぞれの状況での危機の動作の健全性を考えないといけないコンテクストの数
どんな姿勢でも太陽電力確保できる設計
再現性を高める
- EM→FMの移行時に再現性に注意する
- 電源系などは各機器の電力が変われば変わる。:値をスケーラブルに帰られて試験しなくてもよい設計にする
- FMで設計変更したものは検証の必要性がある
- 機器ごとの個別FM試験だけで済むようにしたい:他とのインタラクション(コンテクスト数)ができるだけ少ない設計にしたい。
- 再現性が問題になる機器
- 作り手の個性への依存性をできるだけ避ける
- 作り手が変わると性質が変わるような設計を避ける